刹那の道は
刹那は頑なに拒み続けた。
拒んだ。と言うよりは、口を開くことすらなかった。

そんなやり取りが何日か続いた頃。

いつもは「ちゃんと払うもん払ってくんない?」
と、会話口調だったのに
剛を煮やした暴力団関係者は、とうとう

「おい、兄ちゃん。いい加減頭きたわ」

と怒りを見せ始めた。


そんな言葉を言われても、刹那は、まるで何も聞こえないかのよおに、歌い続けていた。


次の日だった。
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