「この爪のせいでね、気味悪がれ、さんざ虐められたものさ。人は人と違う事を認めないのさ」


男は伏し目がちになる。

長い睫がより一層強調される。


「辛かったのね」

「…ああ」


女の目の曲線が、緩やかになる。


「でも先生、そのおかげで今があるんじゃない。先生の絵には、鳥肌の経つ様な憂いと優しさが同居しているの。今日はその理由に少し触れられた気がするわ…」

「ありがとう。君は素敵な女性だ。ただしネイル以外は」


「先生、しつこいです」


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