;KIZUNA
『じゃあ、あとで。』

麻美の今だに高いテンションの声を聞いて、電話を切った。


さてとっっ。

携帯を煙草を鞄に放り込んで、汚れたスカートをパンパンっと払う。


あっ
月が出てきた。

今日は満月の3日前って感じかな。

って事はほとんどまん丸に近いねんけどね。


うちはその神秘な輝きに目を奪われる。


こんなに目を奪われるよーな男、存在するんだろうか?

いや、居るわけない。

むしろそんな男いらない。


愛?

なんだよそれ。

永遠?

ふざけてんの??


あるわけないやん。


本当にあるのはこの月だけ。


うちを変わらず、そして静かに優しく見守ってくれるのは、手が届きそうで届かない、そのくせ常に自分を見ているその輝きだけ。

月だけがうちを見てる。


毎日この公園で男に抱かれるうちも
その後、独りで快感を求めるうちも

全て知ってるのは


そう、月だけ。



何もいらない。

うちにとって、この輝きがあれば。
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