;KIZUNA
はぁ~~~

長いため息を吐き出しながら、自分の部屋のドアのぶを握ろうとする。


あ・・・

ドアノブにかけられた小さなポーチを見つけた。


ピンク色のラメがついてるようなキラキラ?いや、ギラギラしたポーチ。

少女でもあるまいしっ


そっとポーチを手に取って中を確認する。


やっぱり・・・

中には数枚の一万円札とメモ用紙。


《しばらく帰りません。戸締りには気をつけて。母》


うちは札だけ抜き取るとポーチを力いっぱい壁に打ち当てた。


しばらくって、いつもそーやん。

父親が出て行って、そら苦しい想いだってしてるやろ?

だけど、子育て放棄もいいトコやん。

ピンク色なんかのポーチ買いやがって。

何、色気づいてんだか。


新築の家を建ててから
父親が出て行き
母親が変わった。

涙を流してた母の姿はもうない。

そして、うちだって変わった。


独りの家に慣れていながらも、寂しさを隠せず、毎晩遊びに歩く。


今日もその毎日の一角。

丁寧にコテで髪を巻いて、今日もパンツが見えるんちゃうかってぐらいミニスカート。

制服を放り投げて、鞄を持ち変える。

化粧をかなり派手にして、最後はグロスで男心をくすぐる。


毎晩、外に出歩いては、次の日セックスをする男と出会っとく。

そして次の日にはいつもの公園で。


うちはホテルには行かない。

ホテルは嫌い。

閉じ込められたあの空間で、どうやって欲情するん???

教えてほしい。


かといって、家に連れ込む気はない。

自分の家に男を上げるなんて、吐き気がする。

父親と同じ性をうけた猛獣を。


うちはめっきり外と決まってる。

開放感の中でするセックス以外何も興味がない。


まぁ、セックスの相手にも興味なんてさらさらないけど。
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