Heart of Melody



「水無月~、起きろ」

「疲れてるのかしらね、塾が毎日あって、しかも指揮と伴奏両方やらなきゃいけないしね
課題曲も伴奏は難しいから…」


「そうなんすか…」


と話してたら、水無月が起きた。


「………ん、ここ…家じゃない」


起きたばっかで寝ぼけてる。


可愛い奴。



「ん……あっ練習!あああああ寝過ごした!?」


突然ガバッと立ち上がった。

その衝撃でアイツの脳天が俺の頭にヒットι



「「いったぁぁ」」


……。



しばらくして。



「なんで葉月が来ないのよ!」

水無月は目が覚めたようでキレていた。


「待って、連絡してみるから」


先生が音楽室から出て行った。



「伴奏練習するか」


水無月は呟いて慣れた感じにピアノに座った。


そういや、葉月とは課題曲か。


水無月の伴奏は初めて聞くな。



課題曲はみんな好きじゃない曲。


俺も嫌いだった。



しかし、水無月が弾いたら、こんなに良い曲だったっけ?と思わせた。


俺なんかより上手い…。



伴奏を弾く水無月の姿はかっこよくて。


聞き惚れて、見入ってしまって。



最近、俺の瞳に映る水無月は俺が知らない水無月ばかりだった。


二年から変わってた。成長してた。



俺だけ、なんが二年のあの頃から踏み出せてない気がした。

俺だけ過去に捕われて
うずくまってる気がした。




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