Heart of Melody
「上手いな…ピアノ」
「音楽系だけは得意ってのが唯一の特技」
水無月は微笑みながら呟いた。
目は合わなかったけど、笑顔を俺に向けてくれただけで感動してた。
「ハァハァ…水無月、ゴメンッ!あれ?歩夢?」
「葉月…!」
俺が葉月と言った瞬間水無月が黒い笑みを浮かべながら葉月に歩み寄った。
「遅刻するなんて良い度胸じゃない?」
あーぁ、水無月がキレたよι
「悪いな、ある奴の為なの」
「ふーん、まぁいいや、やろう」
「あっ、葉月くんやっと来たのね」
先生も来て、練習していた。
葉月の指揮は悪いけど、水無月と比べたら見劣りするな……。
俺はただただ、水無月を見ていた。
水無月を想ってた。
───叶わない。
その一言が心を過ぎる。
知ってる。自然に諦めるまで、少し待って。