Heart of Melody
次の日。
里佳と放課後、たまたま廊下を歩いていた。
「~♪~♪」
うちはなんとなく頭に浮かんだMelodyを口ずさんでいた。
「あ、それ去年の卒業式で長月弾いてたね」
─────────
去年、卒業式。
長月は送辞のBGMを弾いていた。
その時弾いていた曲、
【Melody】
自分自身が好きな曲だっから、というのもあるけど、長月が弾くともあって少しドキドキしていた。
本番で、長月が弾いた
【Melody】はとても綺麗で、印象深かった。
────────
「やっぱ、好きなんだよね」
「え?」
「アイツが弾いた【Melody】」
うちは足を止めた。
「……やっぱり。なっちゃん、アイツを諦めたなんて嘘でしょ
【Melody】が好き、とアイツも好き、でしょ?」
里佳はこういう時ばっか勘が良いんだから。
「……好き。すごく……
。考えれば切なくなるくらい。
でも、叶わないってわかってるから。うちに、恋する資格なんて無いから……。いい加減諦めなきゃ」
「なっちゃん……」
「だって、叶わない恋なんて切なくて、苦しいだけだしねッ」
うちは無理して笑った。
「………なんで、叶わないって決め付けてんの?」
里佳じゃない、少し低い声。
「……え?」