Heart of Melody



土曜日。


俺は完全復活したから、部活へ行った。

体育館の入り口へ向かおうとした時、


「うちはっ…」


体育館の裏から水無月の声が聞こえた。



覗くとそこには師走と水無月が居た。


水無月は涙目になっていた。



「……うちは、長月が好きだから…師走の気持ちには答えられないよ」


「知ってるよ、知ってて言ってんだ」


「じゃあなんで!師走、自分が言ってることわかって………」

「わかってる!!!


わかってる…でも抑えられねぇの…好きすぎて…自分の中にしまいきれなくなっちまったんだよ…


ホントは水無月と歩夢の仲を邪魔したくなかった


別れさせちゃダメだって何回も心に言い聞かせてきた

でも、もう限界なんだよ」



師走はグッとジャージを握っていた。



「……人を傷付けたくない…うち、人を傷付けるのは嫌なの

どうすればいいのかわかんない…


長月が好きだよ、うちは…でも、師走の事をそういう好きとか、考えなかったこともない

……気になったりしてた」


水無月は俯きながら言ってる。


「うちが長月を選んだら師走が傷付く
でも、師走を選んだら長月が傷付く

師走は、友達…って関係じゃその気持ちは収まらないんでしょ…?」



水無月の問いに、師走は頷く。



「………長月と、うち、一旦別れる

別れて、リセットしてもう一度考えるから……


師走のため、でもあるかもだけど、今のまま曖昧な気持ちで長月とも付き合えないから、もう一度自分の気持ちを見つめ直す時間が欲しい」


「………!」


俺は自分の耳を疑った。


思わず


「なんでだよ…

なんでだよッ!」


叫んでいた。




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