Surprise!!

「昔・・・俺のおばあちゃんが亡くなったとき、原因が分からんかったんや。せやで、俺に過去を見るように皆は言った。でもな・・・」

紗枝は俺の話を真剣に聞いている。

「見えんかってん。ばあちゃんの過去。」

「・・・え?」

「触っても、何も見えんかった。亡くなった人の生きていた記憶は、見ることができんのや。」

「そう・・・なんや。」

しばらく沈黙が続く。

ふと、思い出したように紗枝は言う。

「なら、先輩を見ればええんちゃう?先輩は生きてるし!!」

「・・・そや、先輩・・先輩を見ればええんや!」

俺と紗枝は次第に元気を取り戻し、いつもの調子になる。

やっぱり俺等はこうでないとな。

ガチャ

俺はドアを開ける。

その先には、うつぶせで倒れた死体と、笑みを浮かべた先輩。

「・・・先輩、ちょっとええですか?」

「・・・いいですよ。来ると思ってました。」

先輩は更にニコニコしながら俺に言う。

「さあ、どうぞ。"見て"ください」

先輩は自ら俺の手をとり、自分に触れさせた。

俺は先輩に触れながら、先輩の過去を探る。

昨日会ったことや、その後帰ったことも・・・・。

しかし。

「・・・なんで・・・」

「どうしたん?狼谷・・・?」

先輩の過去に

"殺した過去"なんて存在しなかった。

< 20 / 34 >

この作品をシェア

pagetop