Surprise!!
「どうしました。狼谷くん」

この状況を予想していたかのような先輩の発言。

しかしその声は俺の耳に届かず、俺は部屋を出る。

続いて紗枝も出てきた。

「狼谷!どういうことや?!」

「なかったんや・・・・先輩に、あの人を殺したなんていう過去が。」

「・・・ほんまか?」

「・・・ああ」

俺はもうどうしたらいいのか分からなくなった。

過去が存在しない。

そんな容疑者の証拠をつかむ、真実を見つけるなんて、不可能だと思った。

しかしふと、さっき見た先輩の過去がフラッシュバックした。

「そういえば・・・・」

「何?何か見えたんか?」

「昨日の朝まで遡ったんやけど、学校にいるとき、妙なことがあってな。」

「先輩の・・・行動に?」

「ああ。実は・・・・」

俺は先ほど見た光景を紗枝に言う。

「犬のネックレスを持ってた。」

「え・・・・?」

そう。昨日の先輩の行動。その中に・・・

東城犬のネックレスを持っている、という過去があったのだ。
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