坂井家の事情
今彼らは彼女の監視の元、テーブル上にあるファイル類を棚へ戻す作業をしていた。

ただ戻せば良いというわけではなく、それらにはきちんとした順番があるため、その通りに並べなければならない。

しかもA4サイズ以上のものが殆どで、200枚前後の書類も一度に挟まれているのだ。

嵩張る上にボリューム感も相当あった。かなり細かく、力のいる大変な作業である。

誰が片付けもせずに放置したのかを悠太は知らなかったが、その人物を呪いたくなってきた。

「それより」

黙々と作業をしていた悠太は汗を拭いながら、先程から気になっていたモノへ視線を移す。

「圭吾、何でお前までいるんだよ」

彼は綾子の隣で腕を組み、当たり前のような顔をしながら立っていたのだ。
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