坂井家の事情
「クラス委員としてお前たちがちゃんと真面目にやっているのか、最後まで見届けようと思ってな。昼前に集めた宿題のノートを先生に持ってきた序(つい)でだ。ま、気にするな」

「こっちは気になるんだよ。見ているだけなら、さっさと帰れ!」

大輔が手をヒラヒラさせて追い払う仕草をする。

「けどこの量だと、休み時間中には終わらないかもしれないな」

そんな大輔のことを無視した圭吾は首を捻りながら、まだテーブル上へ山積みになっているものを見詰めた。

「このままだと、放課後も居残りになるかも知れないぞ」

「え?」と、悠太と大輔は驚いて顔を見合わせる。

「じゃあもしかして放課後も、続きをやらなくちゃいけないってことか?」

「それはないよ。例えこの休み時間で終わらなかったとしても、あたしは放課後までお前たちを拘束する気はない」

腕を組んだままで彼らの遣り取りを聞いていた綾子は、即座にきっぱりと否定した。
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