拘束お姫様 *番外編開始
「近日、 再びあなたの屋敷を訪れる。 もちろん、彼を連れて」
先ほどまで笑っていた彼女が、今ではガタガタと震えていた。
「理解したのなら、 早くこの城から立ち去れ」
怯えているなど関係なく、 王子は冷たい眼差しを向けた。
「穢れなきあの少女は、僕のものだ。 欲塗れの貴族達になんか、渡しはしない。 もちろん、あの心も 決して歪ませたりはさせない」
「・・・・・・・ッ」
それまで黙っていたアリシャスは、強く 己の手を握りしめた。
「すみませんが、この二人を外へ連れ出して下さい」
衛兵を呼ぶ彼はすでに 偽りの王子 へと戻っていた。
先ほどまで放たれていた その冷酷な雰囲気すらも、跡形もなく 消え去っている。