拘束お姫様 *番外編開始



「シンデレラ、そこに居るんだろう?」


湯殿はあまりにも静かだった。


「――――っ」


そんな静かな湯殿で、彼女はただ息を殺し 涙を零す。


「・・・・・あたしは、此処に居ては 駄目なんです」


小さな声が その湯殿に響く。


「何度言おうと、僕は君を此処から出すつもりはないよ」


「・・・あたしは、誰からも好まれない者なんです」


震えた声を聞き、 彼は そっ、と 湯殿の扉を開ける。


「皆、あたしを嘲笑う・・・・」


( 可哀想な奴隷の子 )


「・・・・あたしを見て、同情する人もいます。 でも、同情なんて されたくないんです」


濡れたタイルに座り込んでいた彼女は 服を着たまま、全身ずぶ濡れだった。



< 109 / 208 >

この作品をシェア

pagetop