拘束お姫様 *番外編開始
それは 煩いし彼の姿
♯ 1
*
夢の中へと落ちた彼女の額に口付けをし、クロードはバルコニーへ出る。
「ウィズ、そこに居るんだろう」
紺碧の空に浮かぶ月を眺めながら、ポツリと彼はそう呟いた。
すると、木で同じく月を眺めていた一匹の黒猫が、太い枝を伝って 彼の元へやって来る。
紅い瞳が、未だ月を眺めるクロードを見つめ、
「何をそんなに、考え込んでいるんだい」
ゆっくりと 黒猫は口を開いた。