拘束お姫様 *番外編開始
唇を噛み締め、爪が肌に食い込むほど、クロードは強く手を握りしめる。
昔から、あの人はそうだった。
( 父上、僕、今日は父上と――― )
まだあの人の冷めた心を知らなかった僕は、愚かだ。
一緒に遊んでほしかった幼い僕は、あの人の手を握ってしまったのだから。
( 邪魔だ、向こうへいけ )
低い声で、冷たい眼差しで、そう言われた。
僕の心に残ったのは、孤独と悲哀。 そして払い除けられた手に残る、僅かな痛み。
あの人は決して、僕を愛そうとはしない。
あの人にとって、僕は、「次期国王」になるためだけの存在だから。
「王子………」
「…気にしなくていいよ。予定通り、今からシンデレラの父を迎えにいく」
無表情のまま、クロードはガイルの横を通りすぎ、先を歩いて行った。