拘束お姫様 *番外編開始
*
柔らかい日差しを浴びている庭園は、とても穏やかだった。
花の香りに包まれながら、ゆっくりと時間が過ぎて行く。
何時間ほど此処に居たかは分からない。
けれどシンデレラにとって、庭園とはまったく飽きない場所なのだ。
「あなたが、シンデレラというお方?」
聞き慣れないその声に、彼女は不思議に思いながら後ろを振り向く。
少し先にいたのは、とても綺麗な女の人。
「は、はい。そうです」
何故か、体が強張った。
「王子が舞踏会であなたを選んだと聞いてから、ずっと会ってみたかったのよ。でも、なかなか会わせてくれなくてね」
シンデレラは口を閉ざしたまま、彼女の言葉を聞いている。
「母親としては、やっぱりどんな子を選んだのか、気になってたの」
その言葉に、シンデレラの鼓動が速くなる。
「も、もしかして……王妃さまですか」
すると、その女はにっこりと、微笑んだ。