拘束お姫様 *番外編開始






柔らかい日差しを浴びている庭園は、とても穏やかだった。

花の香りに包まれながら、ゆっくりと時間が過ぎて行く。
何時間ほど此処に居たかは分からない。
けれどシンデレラにとって、庭園とはまったく飽きない場所なのだ。


「あなたが、シンデレラというお方?」


聞き慣れないその声に、彼女は不思議に思いながら後ろを振り向く。
少し先にいたのは、とても綺麗な女の人。


「は、はい。そうです」

何故か、体が強張った。

「王子が舞踏会であなたを選んだと聞いてから、ずっと会ってみたかったのよ。でも、なかなか会わせてくれなくてね」

シンデレラは口を閉ざしたまま、彼女の言葉を聞いている。


「母親としては、やっぱりどんな子を選んだのか、気になってたの」

その言葉に、シンデレラの鼓動が速くなる。


「も、もしかして……王妃さまですか」


すると、その女はにっこりと、微笑んだ。


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