拘束お姫様 *番外編開始
♯ 3
「王子……」
城へ戻る馬車の中でも、王子は何か思い煩っているかのように、黙ったまま。
( これ以上、彼女を悲しませたら許さない )
大分前に言われた、ウィズの言葉が彼の頭に響いていた。
「……奴隷から解放されれば、シンデレラは悲しまずに済むのだと、思っていたんだ」
けれどそれは、あまりにも甘い考えだったのかもしれない。
「奴隷」という立場から解放されようと、あの烙印は残ったまま。
今まで「奴隷」という言葉に苦しめられてきた彼女は、きっと奴隷でなくなっても、過去の事を引きずるに違いない。
( あたしは、王子様に相応しい存在ではありません )
自分は奴隷、そして彼は王子。
あまりの地位の差に、シンデレラは敏感すぎているのだ。
( お前は次期王になる事だけを考えておけばいい )
刹那、あの冷たい心を持った父上の言葉が、クロードの頭に過る。
「……大変だ」
王子は顔をしかめて、強く己の手を握りしめた。