拘束お姫様 *番外編開始
一歩一歩、確実に、彼はシンデレラの元へ近づいて行った。
それに気付いた貴族の男性は、逃げるように彼女から離れた。
「こんばんは」
それは低くもなく、高くもない 丁度良い、柔らかい声。
「見かけない顔ですね」
「・・・・・・」
シンデレラは 唖然としていた。
「・・・・あぁ、周りの視線が気になりますか?」
ただ突然の出来事に、言葉が出なかった彼女だが、どうやら王子は勘違いをしてしまったらしい。
ゆっくりと彼は振り向き、
「みなさん、そんなに僕達を見ていないで、踊ってください」
じっと彼等を凝視する貴族たちにそう言うが、なかなか人々は踊り始めようとはしない。