拘束お姫様 *番外編開始
けれど、
「久し振りですよ、あなたみたいな人は」
そこから離れようとする彼女の腕を掴んで 彼はクスッと笑う。
「ここに居る他の人は みんな欲に塗れた人間ばかり」
少し低い その声が、彼女の耳元で囁かれる。
先ほどまでの優しい雰囲気は 消え去ってしまっていた。
「舞踏会を何度開こうが、彼女たちに興味を持つ事はないというのに。 宝石ばかりを身につけても 無意味なことを」
「―――ッ」
( 王子様はね、とても優しい方なのよ )
アリシャスの言っていたことが、脳裏を過る。
けれど、一体どこが 優しい方 なのだろうか。