拘束お姫様 *番外編開始
「あぁ、もうこんな時間か」
王子が呟いた その刹那、 鐘の音が鳴り響く。
「―――!」
( 0時が過ぎれば 僕の魔法は消えて行く )
鳴り終わるまでに 此処から出て行かなければいけないのに、
いくら暴れても 青年の手から逃れられない。
綺麗なそのドレスが、次第に薄汚れた服へ戻っていく。
それとともに、彼女の体からも 力が抜けていった。
( ここで、待っているよ )
手を伸ばしても その扉には届かない。
「黒猫、さん・・・・」
霞んでいく意識の中、鐘の音が鳴り終わったと同時に 彼女もまた、深い眠りに落ちていった。
ただガラスのくつだけが残り、片方はシンデレラの足から離れ落ち、階段の上へ置き去りにされたまま。