拘束お姫様 *番外編開始
「やぁ、魔法使い」
彼は階段を上ったところで、手すりに肘を置き、頬杖をしながら、漆黒の髪を持つ、その青年を見下ろしていた。
「僕の前で偽っていても、意味はないと言っているだろう」
そんな魔法使いの言葉に、 彼はクスクスと笑う。
「長い間、人の姿を隠していたお前が、 何故再び、その姿を現したんだい?」
「・・・・・・・それは、あの少女のために」
そして彼は ふと階段の上に残された、淡い桃色をした硝子のくつに気付く。
「なぜ、ここに片方だけ―――?」
刹那――胸騒ぎが、彼を襲う。