拘束お姫様 *番外編開始



「そん、な……」

あたしは 帰らなければいけない。
いくら窮屈な籠の中に縛られようと、あの貴族の元へ、帰らなければ。


( いい? 次逃げ出そうとしたら―― )

彼女達に 叱られてしまう。
そして また、あの日のように――――。


「あたしは、帰らないといけないんです」


また傷痕を傷付けられるのは、もう嫌だから。


「一体何をそんなに考えているんだい? お城に居れば、永遠の富が手に入るというのに」


「そんなの、要りません。 だから、帰らせてください」

「・・・・・本当に 他の者とは違うね」


いくら、必死に願っても、


「けれど帰す事は 出来ない」


それに応えてはくれない、冷酷な王子様。




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