拘束お姫様 *番外編開始
いくらお金が手に入ろうと、いくら豊かな暮らしが手に入ろうと、
あたしは、他の人達みたいに そんな欲には溺れない。
いくら永久(とわ)の富を手に入れた所で、己を偽っている彼と一緒に居たくはない。
「その作り物の笑顔、やめてください」
いつも 周りの者の心を操る、その優しい笑顔が、あまりにも完璧な物すぎて、 彼女にとっては嫌だった。
「 これが作り物だと悟られたのは、あなたが初めてだよ」
クスクスと、彼は笑う。
それでもまだ 偽りを被り続けている。
「穏和な人柄を作っていても、王子様が疲れるだけです。 そんな事しても、あたしには意味ありません」
彼の偽った器を壊して、そして怒らせて 嫌われてやる。
そうすれば 彼はあたしをここから追い出すだろう。
けれど、彼女の考えは 甘かった。