拘束お姫様 *番外編開始
シンデレラは外へ追い出される度に、屋敷の近くにある丘に行っていた。
そこから見えるものは数々の家と、少し遠くにある、立派なお城。
「こんにちは、黒猫さん」
彼女がその場所へ行くと 必ず、その猫はいる。
漆黒の毛並みに 紅い瞳をもった、黒猫。
初めは驚いたその瞳にも、今では見慣れた。
シンデレラが来ると、彼はいつものように傍へ寄って、彼女の呟きを聞いていた。
「あたしは、お母様達から逃れられない」
その悲しそうな顔も 何度見たことだろう。