拘束お姫様 *番外編開始



「シンデレラ」


そこまで 彼女の心を不安にさせるつもりでは、なかった。


ただ、彼女は 何も知らなくていい。

その方が、この少女にとっても 良いと思っているから。


「無理を、なさらないでくださいね」


必死に笑顔を作り、悲しい表情を隠そうとする シンデレラの姿が、彼の心にとっては、痛々しかった。



そっ と、彼女に触れようと、手を伸ばす。


( 国を君臨するためだけに、お前は居るんだ )


彼の頭の中にその言葉が過った その刹那、彼はピタッと その手を止めた。



あと少しで それは彼女に届くのに、彼は 動きを止めたまま。




< 68 / 208 >

この作品をシェア

pagetop