拘束お姫様 *番外編開始
けれど僕は、誰かを愛するなんて 出来ない。
人を嫌う事しか 僕は知らない。
優しさなんて、分からない。
だから 彼女を傷付けてしまう。
無意識に 声が低くなっていれば、彼女を怯えさせてしまっている事に気付く。
触れてしまえば いとも簡単に壊れてしまいそうな、その無垢な心を、僕が傷付けてしまっている。
誰かを傷つけてしまうのが、こんなにも恐い事だなんて 知らなかった。
それを知ってしまったが故に、 彼女に触れるのが、恐い。
「王子、大丈夫ですか?」
チラリと見ると、そこに居るのは ガイルだった。
「・・・・、ガイル」
「はい」
「僕は、彼女を助けるどころか、 更に苦しめているのかもね」
「・・・・・王子様」
彼は、己を嘲笑うかのように鼻で笑っては、静かに立ち上がる。