拘束お姫様 *番外編開始
「・・・・・おはよう」
彼はそう言うが、薄明るい部屋を見る限り、まだ起きるには早い時間だった。
「王子、さま」
彼の声に、此処は現実なのだと 実感する。
けれど息はまだ少し乱れていて、額も 薄く汗ばんでいた、
「シン――」
彼が彼女の名前を呼ぼうとした、その刹那、ギュッと シンデレラが彼の裾を強く握った。
彼女の体は震えていて、その瞳も 何かに恐れているようだった。
「随分と、恐い夢を見たようだね」
その言葉に、シンデレラは我に返る。
そしてすぐに 彼の裾を放した。
「す、すいません。いきなり…」
自分としたことが、失態だ。
無意識に 彼の裾を掴んでいただなんて。