拘束お姫様 *番外編開始



しかし不思議な事に、王子が傍に居る時に眠ると、その恐ろしい夢は見ないのだ。

彼の声は、何故か彼女にとって安心出来るものになっている。


はぁ、 と短いため息を零した その時、ニャァ と猫の鳴き声が、バルコニーから聞こえてきた。


「黒猫さん――!」


その紅い瞳の猫を見つけると、すぐに彼女はその大きな窓を開けて 彼を中に入れる。


そして黒猫は、たちまち人の姿に変わった。


「久し振り、シンデレラ」


その声も、その頬笑みも とても、懐かしいもの。


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