拘束お姫様 *番外編開始
「そうだったのか。 アイツ・・・・・王子は、何処に?」
「まだ 帰って来ていません。 最近ずっと、夜遅くに出掛けているんです」
その言葉に、彼は眉を寄せる。
「じゃぁ、君は毎晩一人で寝ているのかい?」
ゆっくりと 彼女は頷く。
はぁ、と 彼はため息をついた。
「これじゃぁ、意味がない」
その声は小さすぎて シンデレラには届かない。
彼女をあの窮屈な籠の中から助けるために、舞踏会へ連れて行き そしてアイツと出会わせた。
本当は、アイツの元へ連れていくのが嫌だった。
いっそ 僕の所へ来てしまえばいいのに。
そう何度も思った。 けれど、僕では駄目だから。
やりきれない思いのせいか、強く 彼は唇を噛み締めた。