拘束お姫様 *番外編開始
「ふざけるな!」
その声は、静かな部屋にこだまする。
「静かにしろ。 彼女が、起きてしまう」
そして静けさが、また部屋を包んだ。
「・・・・本当は、お前と彼女を出会わせたくはなかった」
ポツリと、彼は俯きながら呟く。
「けれど、これ以上 あの貴族達のせいで、彼女が悲しんでしまうのが、我慢出来なかった。 少なくとも、お前の所に居れば、悲しまない」
「・・・・・」
「そう、思ってたのに―――!」
彼女はあの忌々しい傷痕に縛われ、夢にまで魘され、毎晩 苦しんでいる。
「最終的に、お前は彼女を悲しませてる。 毎晩魘されている事を知っておきながら、それでもお前は夜な夜な出掛け、彼女を一人にさせる」
それは シンデレラを想っているが故に芽生える、彼への苛立ち。
「僕は、彼を捜さなければいけない」
「彼、だと?」
「あぁ。 だから、彼女を一人にしようとも 僕は、出掛けなければいけない」
ウィズはその言葉が、納得いかなかった。
シンデレラを苦しませてでも、奴は誰かを捜しだそうとしている。
「その事を、彼女は知っているのか?」
「いや、知らないよ。 彼女には何も教えない。 シンデレラは、何も知らなくていい」