プリンな彼女
「せっかくですから、きちんとお付き合いした方がいいですよ。後で後悔しても、遅いんですからね」
「真紀ちゃんって、積極的よね」
「祐里香さんが、気付いてないだけです」

───え…。
真紀ちゃん、顔に似合わず言うわねぇ…。
でも、真紀ちゃんが好きになるのってどういう人なのかしら?
あの感じだと、自分から告白するタイプなのね。
ということは、相手はあたしと同じで奥手と言うか、鈍感と言うか…。
まぁ、あんなに可愛い子に迫られて嫌と言える男はいないでしょう。

その前に、早いとこ噂のことを稲葉に言っておかないと。

+++

午後3時を過ぎて急ぎの仕事に巻き込まれてしまったあたしは、稲葉と話をすることもできずにパソコンの前に釘付け状態になっていた。

───月曜日から、残業なんて…。
これじゃあ、帰りが遅くなっちゃうわ。

長丁場を覚悟して、あたしは食料の調達に出掛けることにした。
やっぱり、プリンは外せないわね。
席を立とうと思った矢先、稲葉に声を掛けられた。
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