プリンな彼女
「あのね。実を言うとあたしも買ったのよ。稲葉にお誕生日のプレゼントをあげようと思って。結構、お世話になってるから、お礼にってね」
「え…新井が、俺に?」

まさか…自分がもらえるとは、思ってもみなかった。
これが本当なら、マジ嬉しいっ!
今にも飛び上がりたい衝動をグッと抑えて、平静を装う稲葉。

「でも、いらないわよね」
「いるっ、いるよ!」
「え?だって、さっき困るって言ってたじゃない」
「それは、それだろ」

さっきは困るって言ってたのに、何よそれはそれって…。
意味わかんないわ。

「なんか、よくわからないわねぇ。で、あたしのはもらってくれるわけ?」
「もちろんだよ」
「あっ、そう。じゃあ、帰る時に渡すから、声掛けるわね」
「あぁ、ありがとう」

心の中で思いっきりガッツポ─ズを取る稲葉は、その後の変わり様に職場のみんなが首を傾げるばかり。

───あっ、そう言えば、真紀ちゃんは憧れの人にプレゼントを渡して告白したのかしら?
後で、聞いてみなくっちゃ。
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