プリンな彼女
「わぁっ、ちょっ真紀ちゃんっ?!」
「祐里香さん、可愛い過ぎですよ?私なら、抱きしめちゃいますぅ」
「稲葉も同じことしたのよ。ったく、あいつったら、おまけにおでこにチュウまでしてからにぃ」

───え?おでこにチュウ?
稲葉さんったらぁ、やるぅ。
あ~もう、二人していい感じじゃないですかぁ。

「祐里香さんは、稲葉さんにこんなふうにされてどうでした?」
「どうって?」
「嫌でした?」
「ううん、それが全然嫌じゃなかったのよ。ただ、変なの。こう、胸の奥がモヤモヤするっていうか」

───あぁ~ん、祐里香さんったらぁ。
もうっ、気付いて下さいよぉ。

真紀は、じれったい気持ちを抑えて祐里香から体を離す。

「完全に惚れちゃいましたね?稲葉さんに」
「そんなこと…」
「素直に自分の気持ちを認めて、稲葉さんの胸に飛び込んで下さい」
「え─何で、あたしがっ」

───とは、言うものの…認めたくない…けど…。
やっぱり、そうなのよね。

あたしは、稲葉のことが好き…。
だったら、稲葉は?あたしのこと…。

「心配しなくても、大丈夫ですよ。稲葉さん、祐里香さんに向かってラブラブ光線、発してますからね」
「ラブラブ光線?!」
「感じませんか?」

───ラブラブ光線ってぇ…。
どんな光線よぉ?!

「う~ん、感じなくもないけど…」

───あら?あたしったら…。
感じてるんじゃない…。
でも…どうやって、稲葉の胸に飛び込むのよぉ。
今更、じゃない?

「でも、どうやって飛び込めばいいの?」
「そうですねぇ…まずは料理でリベンジなんて、どうです?」

───料理でリベンジ?
それはちょっと、無謀な気がするんだけど…。

「まずはせっかくですから、稲葉さんに手取り腰取り教えてもらって」

───腰取りって…。
可愛い顔して結構言うわねぇ、真紀ちゃん。
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