プリンな彼女
◇
あたしは定時間際に危うく課長に余計な仕事を頼まれそうになったが、せっかく稲葉が奢ってくれるという焼肉食べ放題を逃す手はない。
なんとか振り切って、約束の17:30に真紀ちゃんと2人で下に行く。
そして、すぐにやってきた稲葉と3人で焼肉店に向かったが、そこは普段はなかなか足を運ぶことができないような高級店。
「ちょっと、稲葉。もしかして、ここに入るの?」
「焼肉食べたいって言ったの、新井だろう?」
───いや、そうだけど…。
でも、ここってすごく高いのよ?
いくらなんでもこんなお店で食べたら、3人でいくらすると思ってるのよ。
「そうだけど、いいわよこんな高いお店でなくって。それにここ、食べ放題なんてないでしょう?」
「そんなこと気にしなくていいから、新井が食べたいだけ食べればいいよ」
───気にしなくてもって、気にするわよ。
それに食べたいだけってねぇ、そんなことしたら諭吉さんが何人いても足りないじゃない。
そんなあたしの心配なんて気にすることもなく、1人稲葉はお店の中に入って行く。
真紀ちゃんも小さな声で「いいんですか?」と聞いてきたけど、ここまで来てしまったのだから入るより仕方ないだろう。
あたしは今、財布に今いくら入っているかを思い返しながら、稲葉の後について中に入った。
「2人とも、どうした?」
押し黙ったまま、無言のあたしと真紀ちゃんを不審に思った稲葉が声を掛けた。
「だって…」
「いつもの新井らしくないな、俺を誰だと思ってるんだよ」
稲葉はお茶らけるように言うと、注文を取りに来た店員に生中3つと特上カルビだのロ─スだの勝手にどんどん頼んでしまった。
目の前に美味しそうな肉が並べられても手を出さないあたしに、さすがの稲葉も痺れをきらしたのか、1人で焼き始めた。
真紀ちゃんは、あたし以上に恐縮しちゃってるし。
「ほら、どうした。食べないのか?」
───そりゃあ、食べたいわよ。
食べたいけど、ここでホイホイ食べちゃうのってどうなの?!
あたしは定時間際に危うく課長に余計な仕事を頼まれそうになったが、せっかく稲葉が奢ってくれるという焼肉食べ放題を逃す手はない。
なんとか振り切って、約束の17:30に真紀ちゃんと2人で下に行く。
そして、すぐにやってきた稲葉と3人で焼肉店に向かったが、そこは普段はなかなか足を運ぶことができないような高級店。
「ちょっと、稲葉。もしかして、ここに入るの?」
「焼肉食べたいって言ったの、新井だろう?」
───いや、そうだけど…。
でも、ここってすごく高いのよ?
いくらなんでもこんなお店で食べたら、3人でいくらすると思ってるのよ。
「そうだけど、いいわよこんな高いお店でなくって。それにここ、食べ放題なんてないでしょう?」
「そんなこと気にしなくていいから、新井が食べたいだけ食べればいいよ」
───気にしなくてもって、気にするわよ。
それに食べたいだけってねぇ、そんなことしたら諭吉さんが何人いても足りないじゃない。
そんなあたしの心配なんて気にすることもなく、1人稲葉はお店の中に入って行く。
真紀ちゃんも小さな声で「いいんですか?」と聞いてきたけど、ここまで来てしまったのだから入るより仕方ないだろう。
あたしは今、財布に今いくら入っているかを思い返しながら、稲葉の後について中に入った。
「2人とも、どうした?」
押し黙ったまま、無言のあたしと真紀ちゃんを不審に思った稲葉が声を掛けた。
「だって…」
「いつもの新井らしくないな、俺を誰だと思ってるんだよ」
稲葉はお茶らけるように言うと、注文を取りに来た店員に生中3つと特上カルビだのロ─スだの勝手にどんどん頼んでしまった。
目の前に美味しそうな肉が並べられても手を出さないあたしに、さすがの稲葉も痺れをきらしたのか、1人で焼き始めた。
真紀ちゃんは、あたし以上に恐縮しちゃってるし。
「ほら、どうした。食べないのか?」
───そりゃあ、食べたいわよ。
食べたいけど、ここでホイホイ食べちゃうのってどうなの?!