プリンな彼女
story19
『新井さんをしっかり捕まえるんだよ』と小山課長に言われたものの…。
───さて、どうしたものか…。
稲葉は仕事中だというのに祐里香のことばかり考えてしまう。
それとなくメ─ルを送ってみようかなとか、思いつつも、なかなか実行に移せない。
───あぁ…。
「稲葉、おめでとう」
「・・・・・」
「稲葉ったら、聞いてるの?」
「あ?ごめん、ボ─っとしてた」
「もうっ、人がおめでとうって言ってるのにぃ」
頭をすっきりさせるためにコ─ヒ─を買いに来たはいいが、自販機の前でボ─っと突っ立ていたらしい。
───でも、おめでとうって何だ?
自分の誕生日はとうに過ぎていたし、あの時もおめでとうってプレゼントももらったはず。
「えっと…おめでとうって、何だ?」
「やだっ。稲葉、課長補佐になったんでしょ?だから、おめでとうって言ったのに」
「あっ、それか」
何がおめでとうなのかと思ったが、言われてみれば今度、稲葉は課長補佐になったのだ。
もちろん、同期でただ一人である。
昇進したことは非常に嬉しいことではあったけれど、祐里香のことがあったから、すっかり頭の中からどこかに行ってしまっていたのだった。
「稲葉、嬉しくないの?同期で一番出世なのに」
「いや、嬉しくないの?と言われれば、そりゃあ嬉しいけど…」
「どうしたの?何かあった?」
心配そうに覗き込んでくる彼女。
───何かあった?と言われれば、それはあなたのことでしょう…。
とは思っても、これは口には出さなかった。
稲葉がこんなに悩んでいるというのに彼女はあまりに普通で、考え過ぎなのかそれとも…。
「何もないけど」
「ならいいんだけど…。それでね、みんなで稲葉の昇進祝いをしようって話になったの。来週の金曜日、大丈夫?」
「昇進祝い?いいよ、そんなの」
「そう言うと思ったんだけど、これは口実で久し振りに同期で集まろうって」
───なるほど。
それなら、いいか。
祐里香の言うように5年も経ってしまうとなかなか同期で集まることもなくなっていたから、久し振りにみんなで飲むのは楽しいに違いない。
───さて、どうしたものか…。
稲葉は仕事中だというのに祐里香のことばかり考えてしまう。
それとなくメ─ルを送ってみようかなとか、思いつつも、なかなか実行に移せない。
───あぁ…。
「稲葉、おめでとう」
「・・・・・」
「稲葉ったら、聞いてるの?」
「あ?ごめん、ボ─っとしてた」
「もうっ、人がおめでとうって言ってるのにぃ」
頭をすっきりさせるためにコ─ヒ─を買いに来たはいいが、自販機の前でボ─っと突っ立ていたらしい。
───でも、おめでとうって何だ?
自分の誕生日はとうに過ぎていたし、あの時もおめでとうってプレゼントももらったはず。
「えっと…おめでとうって、何だ?」
「やだっ。稲葉、課長補佐になったんでしょ?だから、おめでとうって言ったのに」
「あっ、それか」
何がおめでとうなのかと思ったが、言われてみれば今度、稲葉は課長補佐になったのだ。
もちろん、同期でただ一人である。
昇進したことは非常に嬉しいことではあったけれど、祐里香のことがあったから、すっかり頭の中からどこかに行ってしまっていたのだった。
「稲葉、嬉しくないの?同期で一番出世なのに」
「いや、嬉しくないの?と言われれば、そりゃあ嬉しいけど…」
「どうしたの?何かあった?」
心配そうに覗き込んでくる彼女。
───何かあった?と言われれば、それはあなたのことでしょう…。
とは思っても、これは口には出さなかった。
稲葉がこんなに悩んでいるというのに彼女はあまりに普通で、考え過ぎなのかそれとも…。
「何もないけど」
「ならいいんだけど…。それでね、みんなで稲葉の昇進祝いをしようって話になったの。来週の金曜日、大丈夫?」
「昇進祝い?いいよ、そんなの」
「そう言うと思ったんだけど、これは口実で久し振りに同期で集まろうって」
───なるほど。
それなら、いいか。
祐里香の言うように5年も経ってしまうとなかなか同期で集まることもなくなっていたから、久し振りにみんなで飲むのは楽しいに違いない。