迷姫−戦国時代
とある旅人が道を歩いていた
一人は荷物を乗せた馬を引き、残りの二人も後に続き荷物を持ちながら道を歩いていた

途中子供とすれ違う
ふと一人が立ち止まり来た道を戻っていく


暫くして一人は二人の元に戻ってきた

少しだけ違うのはすれ違った子供の一人に可愛らしい花が飾られてあるのであった


道の先には小さな建物があり馬を引く男は後ろの振り返った

「あそこの茶屋で少し休もうか」

後ろの二人は頷き前の男に続いた

「三名で」

「いらっしゃーい三名様ですね。こちらにどうぞ」

三人は誘導され腰掛けに座った


「団子三人分下さい」

元気よく話す少女に隣に座っている男はすかさず
「由利・・・俺は要らないのだが」

と断りを入れたのだが「”三人分”で」と言い切った彼女に彼の意見は虚しく取り入れられなかった

「はいお待ちどおさま。当店人気の団子だよ。ゆっくりしていきなよ」

団子を渡しながら話すおばさんに三人はそれぞれ礼を言い団子を頬張った

「っ!美味しいです」

「ん、中々いけるね」

「・・・」

中々食べようとしない宮火に横にいた浅波が気づく

「食べないのかい?」

「後で頂きます・・・」

そう言い団子を竹の葉でくるい懐にしまった



「それにしても大分歩きましたね。どれ程進んだのでしょう」

「あれから一月・・・。商売などして旅をしてだからちょうど二ヵ国越えた頃かな、大国じゃ無いけどね」

「二ヵ国・・・。もし普通であったら何処まで進めますの?」

「単身ならば島の約半分の領地側まで行けると思うよ」

この言葉は忍で尚且つ浅波だからこそ言える言葉だと宮火は口には出さずに心の中で呟いた

「半分も!・・・もしかして二人の足を引っ張ってるのは私ですよね?御免なさい・・・」

「気にする事ないよ。それにこの方がいろいろと、安全だしね」

浅波の言葉の裏には楠木が美羽を見つけない為でもあると意味している


気分を変える為に美羽は明るい調子で話し掛けた

「次は何処に向かってるのですか?」

「んー次は・・・」


「枇杷(びわ)の国です」



< 109 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop