迷姫−戦国時代
二人の様子を見た美羽は直感的に

少年は今此処で死ぬ

と思った

手元の懐刀をぎゅっと強く握り締め美羽は冷静、考えた


今の私には一体何が出来るか・・・

それに相手から全く殺気が感じられない故、この場の空気を変にしている
そんな大人の男を見定める様にして見た




服装、武士が持つ長刀より短い刀、雰囲気
この三つのパーツを合わせていくと当て嵌まるのがあった

この男は



忍・・・・なのだと


だとしたらもし助けに行ったとしても到底自分では敵わない事だと瞬時に理解した

そして自分に今出来る選択肢はこの場からなるべく早く逃げるしかない事


だが分かっていても、どうしてもあの少年を見捨てれない気持ちでいた

美羽は意を決して前へと踏み走った


刀を両手で持ち少年と男の間に立ち塞がった

「!!」
後ろで少年が驚いた顔をしていたが構わずに今の美羽には目の前にいる男を強く見つめていた

「殺生は、いけません。貴方の都合はどうであれ、此処は桜美様方が納めています千紫でございます。この美しい千紫を血で汚すなど、決してしてはいけないのです。どうぞお見受け下さいませ」

相手の目を見て強く吐いた美羽に対して男は
「こやつは使えない・・・生きる事をやめた下方者だ。それ故に忍には忍の掟を守るまでだ」

「生きる事をやめた・・・。
っ!!私は彼に何が合ったかはわかりません、されど人として命が有る限り、彼は生きるのです。生きなければいけないのです!」

「綺麗事を・・・ならば娘、そなたがこやつの変わり死ぬがよい」

忍は腰から手裏剣を素早くとり美羽に向けて飛ばした



美羽は刀で己の盾にし庇ったが次の攻撃が来て防御しようとしたがまだほんの五歳の少女には到底出来るはずがなかった


早いっ!

ああ、また私は死んでしまうのかと悔しく思った






だが



ガキイィィィィィン

刀と刀がぶつかり合う音がし目を見張った









男ともう一人見慣れた男が美羽の前に立ち塞がっていた













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