迷姫−戦国時代
・・・思った通りだ。それも断定ときた

俺は勿論此度の戦も目の辺りにしている。まあそれは置いといてだ、今俺がこの男に答える内容次第で歴史があらゆる方向に屈折し、乱れていく事が予想付く

だから俺は答えるその前に、この男に釘を刺しておこう



「あんたは此処まで目を見張る勢いで勢力を伸ばしてきた。この世の中を占領する勢いまでにな。だが我が国の先代方はそのような者達を幾度見てきたか・・・。だが結果としてはどうだ?占領されていった国々は一つになるどころかまた再建し均衡を取り戻してるじゃねえか。つまりはあんたが滅ぼそうとしている”それ”は滅ぼす事は出来ず、無駄な事なんだよ。

それにあんたには手が出せねえよ。俺の言葉を、重々覚えておくことだ」




長々と話しを終えた俺に楠木は閉じていた目を開け、朱色の瞳が更に濃く真朱色に変化していく

国によって瞳はその者の感情の現れであると言い伝えられている。つまり目の前の男は正しく・・・
「フン、言いたい事はそれだけか。儂は気が短い方でな。お主の戯れ言はどうでもいい、さっさと申せ」


苛立った表情で上座から俺を睨み付ける楠木に俺も釘を刺した事だしこれ以上怒らせるのは後々面倒になることだろうからな。先程の話題に戻すか・・・








・・・本当は気づいてるくせに。あんたは核心が欲しいんだろ?


なら答えてやるよ


俺は忠告したんだぜ?


もう戻れないからな・・・








「桜美家は滅んじゃいねえよ」







さあ、新たなる歴史の記録となればいい


楠木 重綱殿よ



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