迷姫−戦国時代
「あー終わった終わった」
客間に案内された杉藤は浅葱色の打ち掛けを脱ぎ捨て腰を下ろした杉藤は整えられた前髪を掻き分けた。その光景を女人が見てたら誰もが彼に見惚れていただろうに残念ながら客間には彼しか居ない
不意に部屋周辺の気配を確かめると懐から巻物を二本取り出し、一つは先程楠木からの巻物であり、もう片方は黒い無地の巻物である
楠木は赤の巻物を広げ先程とは違い文をゆっくり読んだ
だがそれも数分で読み終わり今度は黒い巻物を畳の上に広げた
そして白紙の紙の上に親指を付け文字を書くように動かすと同時に筆跡をなぞるように文字が浮かんでいく
朱に交わりし時を刻め
たったそれだけ書き綴られた文字は突如巻物に浸透していき次には跡形もなく消えてしまい、また元の白紙に戻っていた
杉藤は二つを懐に仕舞へば遠くから見知った気配が近づいてくる
「竜次様、夕餉の仕度が出来た様です。如何致しますか」
「正木か、あー・・・気が変わった。此処で食べることにする」
「承知致す」
側近の正木の気配が消えれば杉藤は徐に寝転ぶと視界には天井が映る
「落ち着かないな」
ボソリと呟いた彼の声は誰にも聞かれる事なく響いた
客間に案内された杉藤は浅葱色の打ち掛けを脱ぎ捨て腰を下ろした杉藤は整えられた前髪を掻き分けた。その光景を女人が見てたら誰もが彼に見惚れていただろうに残念ながら客間には彼しか居ない
不意に部屋周辺の気配を確かめると懐から巻物を二本取り出し、一つは先程楠木からの巻物であり、もう片方は黒い無地の巻物である
楠木は赤の巻物を広げ先程とは違い文をゆっくり読んだ
だがそれも数分で読み終わり今度は黒い巻物を畳の上に広げた
そして白紙の紙の上に親指を付け文字を書くように動かすと同時に筆跡をなぞるように文字が浮かんでいく
朱に交わりし時を刻め
たったそれだけ書き綴られた文字は突如巻物に浸透していき次には跡形もなく消えてしまい、また元の白紙に戻っていた
杉藤は二つを懐に仕舞へば遠くから見知った気配が近づいてくる
「竜次様、夕餉の仕度が出来た様です。如何致しますか」
「正木か、あー・・・気が変わった。此処で食べることにする」
「承知致す」
側近の正木の気配が消えれば杉藤は徐に寝転ぶと視界には天井が映る
「落ち着かないな」
ボソリと呟いた彼の声は誰にも聞かれる事なく響いた