迷姫−戦国時代
夕餉も食べ終わり気付けば辺りは夕方から夜へと変わっていた


杉藤もとい竜次は障子を開け廊下に腰を下ろし、何となく月を眺めた




満月か。そういえば今日は枇杷ではあの祭か・・・
前回は色々とあったからな。今年は前回の主要者を使うか否か、か

・・・まあ下の者に見に行かせてるし平気だな


あの祭は他国にしろ国の住民にも口外せず、何より存在自体許されない唄だ。だが今の状態では唄と言うにも不完全なだけであり我が国からも今まで重視さず、何事も無いように現在に受け継がれてきた



だがもしそこで・・・・

「っ!?」




竜次は急な頭痛により頭を押さえるが次には視界が一転し別の情報が流れてきた








・・・曲が聴こえる
これは、琵琶・・・の音色か


どうやら下の者が見てる宴の光景の様だが、クソあの野郎め、俺に何を見せようとしてるんだよ


俺は聴こえてくる唄に耳を澄ませた

「共に歌え我が同志達。
共に楽しい時を過ごそうではないか−−−」

何だと思えばあの不完全な唄じゃねえか
ったく俺に一体何を・・・
「私が四季の美しさを表す舞を捧げます」

新たなる声に竜次は目を見開いた。回りを見渡そうにも今の状態は下の者の使いから見てる”記録”であり竜次は直接見てるのではなく、間接的に見ている光景であり今も視界には琵琶を弾いている男しか見えなかった



チッ
下の者に行かせるんじゃ無く己が直々に行けば良かったと竜次は後悔したと同時に動悸が激しくなる



唄は終盤に近づいていくに連れ竜次は顔をしかめていく






そう、この唄は確かに不完全だ

         前回までは、な





−−−
「今宵も全ての者が貴方様の為に捧げます。
そして広いお心で我等を見守ってくださいまし。

この宴は、無くす事のない貴方様への愛。
さあ、終わる事のない宴を始めましょう」
−−−

言うなよ言うなよ・・・









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