迷姫−戦国時代
綺麗な女の人がいた

髪に隠れ表情が見えないが、見えなくても彼女の強い眼差しが美羽を射ぬく




−−−お前は



どちらに進む?







此方に来るなら、早く来い






拒むなら、




その身を真っ赤に・・・・・染めてあげる















「!」



冷や汗が身体中から溢れ、着物がべたつきどぎまぎした感情で目を覚ました美羽は異様な光景に言葉を失った

辺りは暗闇で障子から射し込む月日だけが部屋の灯火となっていた。また手足には縄で頑丈に縛られ自由を奪われ身動きが出来ない状況。



「(捕まってしまったのね。このままではいけない、逃げなくちゃ)」


美羽はすぐさま懐刀を取り出すため身動ぐがそこには普段あるはずの感覚を感じれなかった
その事にすぐさま理解した美羽は再び冷や汗が流れだした




「(懐刀が・・・ない)」




よく見れば、着ていた着物も変えられ新たな着物を着せられている。その際に身に付けていた物も全て奪われたのだろう。しかし、皇朱から頂いた扇子と簪は向こうに置いてきてしまっていた。他に身に付けていた物を思い出そうとしたそのとたんに、冷静さを失い美羽は急に焦りだした

「(その中には兄様から預かった物もあるわ・・・!あれだけでも、取り返さなければいけない)」

動けばば動く程に手足を縛り付けた縄はきつく締め付け、時期にそこは赤く腫れるだろう

美羽は周囲をもう一度見渡し刃物になるような物を探しだした。しかしそこには美羽が寝ていた蒲団しか置かれてなく、なんとも殺風景な部屋であった

縄をほどくのは諦め、美羽は障子まで這いずるような状況で忍び寄った

障子を何とか開ければ息を潜め障子から顔を出し覗き見した




「逃げようと考えるなんて、
愚かな」




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