迷姫−戦国時代
「・・・御母様、でございますか」

浅波の口調が変わった事により美羽は目を丸くしたと思えば次はゆっくりと微笑んだ



「御母様ですか。私は浅波が羨ましく思います」

美羽を産んだ直ぐに母親とは死別したために美羽は母親の顔を知らない事にハッとした浅波は美羽に言葉を掛けようとした

「ですから、御母様の事を私にたくさん教えて下さい。実は昔から聞きたかったのですけどいざとなると中々聞きづらくて」

笑顔ではあるが瞳の奥には哀愁があるのに忍びである浅波は気づいた

「貴女様は母君に良く似ております」

「本当ですか。例えばどのように?」

「瞳と仕草でございます」

「そうなんですか。実は私も瞳については少し疑問に思ってたのです。千紫にはこの様な色など伺った事が無いので」

「瞳はあちらの国の血を受け継いでおり髪や肌などはこちらの国の血を強く受け継いでいるんです」

「では御母様の国はどのような国でしたの?千紫と同じ様に素晴らしい国でしたか」

「えぇ立派な国でしたよ。でも俺が話せるのはここまでです。後は武則様や秋影様に伺ったらいいでしょう」
部屋へ戻ろうとゆっくりと立ち上がった

「焦れったいです」

「二人ならきっと答えてくれるから気に病まないでね。それじゃあおやすみなさい。由利」

「分かりました。おやすみなさい」

障子を閉じた後に部屋には美羽は一人でいた

いつの間にかいつもの口調に戻っていた浅波・・

御母様の出身を御父様に聞いたら何か教えてくれるんでしょうか















美羽は浅波の変化に疑問を持ちながら居間を出て自分の部屋へと戻った








いずれ美羽は浅波の話した深い意味に理解するのはまた後の話である









あの後浅波は居間から出た後部屋へ入った時に己の拳が震えているのに気づき冷静さを取り戻そうて己の拳を見つめ



「無謀な事は命取り。
ただ俺は守る。
それがあの方との約束なのだ」










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