迷姫−戦国時代
とある部屋で国の当主と家臣達が集まり会議をしていた

一人の家臣が地図を指して話した
「南と西側を守りを強化するのはどうだ?」

「しかしそれでは一方的ではないか?」

「ではその・・・」

会議中失礼致しますと襖ごしに女中が話し掛けその中で「馬鹿者、良いと言われるまで誰も近くへ来させるなと言ったであろう」と怒る家臣の一人を当主である秋影は「良い、申しなさい」と言った


「皆様にお会いしたいお方がいらしております」

会議を仲裁してでも会わせたい者がいるのかと思いながら思考を巡らせた
「お会いしたい・・・?今すぐかい?」

「誠でございます」

「良い、入らせよ」


失礼致しますと声がし襖が開けられた


秋影と武則は目を見張った



開けられた襖の前には
紅梅色の立派な打掛を纏い花の簪をつけ、己の知っている美しい娘が立っていた


「「美羽・・・」」

突然現れた娘を美羽と呼んだ二人に訳を知らない家臣達は秋影と武則へと顔を向けた

「御二方、美羽様は亡くなったと聞いてるのですが。一体どうなってるのでございましょか」

「私共を騙していたのでござるか?」


「静まりなさい」



それぞれ掛けられる言葉の中に凛とした声が流れた




美羽は中央へと歩いて行き回りを見渡した

「訳は詳しくは言えません。ですが皆様、今はこの様な事はしてる訳にはいけません。戦は近いのですよ」


静まり返る中美羽はこちらを向き





「桜美 美羽。ただいま帰りました」



微笑んだ姿は亡き母上に少し似ていた
















姫は艶やかさを増し全ての者を魅力する風貌へと変わっていた





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