迷姫−戦国時代
黒い鎧に身を包み武則は馬に跨がり兵を何時でも応戦出来る様に待機させ遠くから朱がこちらに向かって来るのをだだひたすら眺めていた

「武則様」

息を切らしながら浅波は目の前に現れた

「善い、分かっておる。奴の狙いは儂じゃ」

眉間にしわを寄せながら話す武則に浅波も顔を曇らせた

「一応伝えます。園部殿は討たれ敵の騎馬隊は城には見向きもせず一直線にこちら側に向かっている御用」

「よくぞ伝えた」

浅波は少し間を置き武則に話し掛けた

「我々は正しかったのであろうか。武則様・・・」

「正しいかどうかは儂が言える立場ではない。だが・・・沢山の者達に出会え儂は悔いなどない。御主はどうじゃ国浅(くにあさ)」

「その名、もう忘れていたと思ってたが久方に聞いたね。武則殿よ」

「御主のその呼び方、誠久方じゃの」

二人は何処か懐かしむ様な顔をして互いに笑みがこぼれた

朱がこちらに近づいてくるのを確認し二人は顔を見合わせ

「我等千紫に誇りを持ち戦うのじゃ!後ろにも細心の注意を持て!行くぞ!!」

兵は声を上げ走り出し武則は馬を走りだし浅波もそれに続いた















合戦じゃ
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