迷姫−戦国時代
杉藤殿は一体何を言ってるのだ

背中に嫌な汗が滴る様な感じ

本当は・・・
某は杉藤殿が次に発する事が分かっているのかもしれない。だが、そうであってほしくないのが事実









否、某の願いも叶わず杉藤殿の言葉は

「世間では死んだと言われていた姫がまさか生きていたとはな。御陰で新しく書き変えなくちゃいけねぇ。フッ、さてこれを知った楠木は一体どうするか見物だ」


その言葉に某は驚愕した、だがそれと同時にある考えが浮かんだ

「杉藤殿。その情報・・・幾らで買え様ぞ」

某の言葉に杉藤殿は馬鹿にしたように鼻で笑った後、こちらを鋭く見た

「止めときな。これはあんたには関係無い。ましてやこの戦は他人が安易に口出し出来る様な容易なものじゃねえ。馬鹿な事は言わねえ、さっさと国に帰んな」

杉藤殿はそう発し馬の手綱を握り去ろうとしたが某は何とか止めようと声を出した

「待ってくだされ、某にも関係はありますぞ。某は桜美家当主に此処千紫を護る様に誓い申し上げました。それに某は知っております楠木殿は――――――である事を」

某の言葉に杉藤殿、隼人、五郎までもが目を見開いた

「圭吾様、まさかその様なはずは・・・ましてや浬張国は・・・」

「そうだよ!確かにあの姫さんは珍しいけどそんなのって有り得まい!」

家臣二人は某の考えに反発するが二人の言葉など聞く耳持たず、先程から何も発しない杉藤殿を見た











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