Complexxx.
「さっきね、みんなにタオルと飲み物を渡してたんだけどね、坂島くんに飲み物渡したら、サンキュって……笑ってくれたの。」
彩香は喜びを隠せないようで、頬を紅くしながら話していた。
「もー私がいない間に何やってるのよー!」
えへへ。と彩香は笑った。
凄い些細な事だけど、彩香にとっては、凄い嬉しかったんだね。
「ところで、なな。誰か怪我したの?」
彩香が私が持っている救急箱を指さして言った。
「ああ、上村先輩がね、足怪我してたから…」
上村先輩の方を見ると、不格好なカットバンがまだ膝に貼ってあった。
もう少し上手に貼れば良かった…。
応急処置なんて慣れないことするから…。
つくづく自分の女子力が嫌になる。
「ふぅーん。」
意味ありげに彩香は言った。