きらきら。
美並 碧。16歳。
高校1年生になれないまま、いつも病院で暮らしてる。
中学1年生の時、自分が病気だと知った。
お母さんはずっと隠してたみたいだけど、生まれつき病気になる可能性が高かったみたい。
でも夜中に起きるとお母さんとお父さんが話してたり、
そのたびお母さんが泣くのを見て、薄々気づいてた。
中学2年生。貧血とかで保健室にいることが大幅に増えた。
その前までは、嫌だと感じた授業に出たくてたまらなかった。
年が明けてからはほとんど学校に行けなくなった。
3年生になると出席した日は数えられるほどだった。
でも、もう悲しくない。
大切な人なんて、家族くらい。
別れるのはつらくない。
いつ死んでも大丈夫。準備も覚悟も出来てる。
ある日、いつもみたいに病院の窓から外を眺めてた。
下校してくる中学生や、買い物帰りのおばさん。
犬の散歩をするひと、仲良くゆっくりと歩くおじいちゃんとおばあちゃん。
見慣れたこの風景。
もうここを通る人の顔は一方的に覚えたほど。
ただ、いつもと少し違うことは、3階のあたしの病室の窓が、外から開いたことだった。