愛恋(アイレン)〜運命の恋〜
〜はじまり〜

高3の夏

全てのはじまりは、私が高3の頃。
しかも…夏に入った頃だった。



“えりな"
それが私の名前。
私の両親が名付けてくれた名前…




本当は漢字表記だけど、あえてひらがなで。




今私は、夏休みに入る前の授業を受けている。




今受けているのは、家庭科の授業だ。




自分が買ってきた布を使って、ズボンを作っている。




ただ、私は不器用。
上手くできるかどうか……



あっ!




「あぁー!!糸がほつれた!!」



またやっちゃったよ。
ミシンで縫ったのに、糸がだらーんとほつれてる。




「大丈夫?」


そう声をかけてくれたのは、同じクラスの佐藤さん。
偶然なのか、私と名前が一緒なのだ。
字は違うが…




「最初からやり直しだね…」

私と向かい合わせに座っているのは、2年から同じクラスになった大久保さん。




「ねぇ!ミシンの糸がぐちゃぐちゃだよ?」


私の隣で作業をしていた、下田さんが言った。




「えっ…?」




恐る恐る、ミシンに視線を移す私。




下田さんの言う通り、ミシンの糸がぐちゃぐちゃになっていた。




「ぎょ…ぎょええええ!!」




あまりの事態に、奇声が教室内に響き渡る。
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