短編:ホントニアッタハナシ
「ソレ」
学校から帰ると「ソレ」は自分の部屋に転がっていた
動かない
白い
いや、ところどころ黒ずんでいるところもある
転がっている「ソレ」に触れてみる
ひんやりして硬い
温もりは確かになかったかもしれない
でもやわらかかった「ソレ」
よく眼を凝らして「ソレ」を見る
・・・中心部分を大きく切り裂かれている
それだけじゃない
部分的にも多くの傷がつけられている
やったのは弟だろう
あいつはキレると何かに当たりたがる
そういえば昨日父親と大喧嘩していた
その矛先がたまたま「ソレ」だったのだろう
ただそれだけのこと
だが弟のやったことは許されない
こんなことをした代償はきっちり清算してもらおうと思う
俺「おい」
弟「なんだよ」
俺「消しゴム代80円な」
弟「はいはい」
おしまい